ドイツの見本市や展示会には、日本からも多くの企業が出展・参加しています。 展示会に参加するとなると、とりあえず必要なのが名刺やカタログ、パンフレットなどではないでしょうか? 外国語バージョンにするので、日本国内での需要はそこまでない上に、日本から持ってくるのは重い。 送ると高いし、きちんと届くかわからない・・・(ドイツの運送は手堅いようで、抜けてるところも多いです) という不安から、現地の印刷サービスに頼むケースも多くあるようです。
そのため、弊社では展示会に必要な各種印刷物から、展示パネル、テーブルにかける防災白布(ロゴ入り可)までさまざまな印刷物のご用命を承っております。印刷物に限らず見本市での通訳、カタログの翻訳や事前の市場調査など、お見積もりだけでもお気軽にご連絡ください。
という、宣伝はさておき。
ドイツの付加価値税は19%(食品や書籍など生活に必要なものは7%)になります。
ほぼ2割も付加価値税がつくのは非常に高く感じますが、税法により(最新詳細は税法の専門家やジェトロあたりのHPでご確認くださいね)、ドイツ以外のEU内の企業や第3国からの見本市への出展にまつわるサービスについての付加価値税は基本的には免除されます。
ただし、ここはドイツ。 国庫が苦しくなると、国民からうまい感じに理由をつけて、税金や罰金を取るのがとても上手な国・ドイツです。 ドイツでは税務署対策にしっかり対応していかなければいけないので、日本側へ要求する書類の準備も申し訳ないと思いつつも、厳しくお願いすることが多くなってしまいます。 ドイツでサービスを請け負う側も安心、そして日本からの出展者も手間を最小限にして付加価値税を免除するための方法を調べ直してみました。
日本でいう消費税にあたり、ドイツ語ではMwSt.(Mehrwertsteuerの略)と言います。 売上税 USt. (Umsatzsteuer.の略)とも言いますが、厳密な違いは、専門家に聞いてもらうとしまして、、、
ドイツ国内の付加価値税は19%(生活必需品は7%)。 この19%は本来ドイツで税金を納めている会社に適応されるため、日本で税金を納めている日本の会社は、ドイツ国内でのみ消費されるものに関しては付加価値税は支払わなくて良いですよ、となる訳です。
そのため、見本市出展などドイツ国内でかかる付加価値税(消費税)が不要、つまり非課税(付加価値税は免税) のイメージがもたれていますが、実際は「条件付き」で付加価値税をドイツで支払わなくて良い、となります。
この「条件」はきちんと統一されておらず、各会社の業務内容や形態、サービス内容で「条件」が違っています。 それぞれの「条件」もルール大好きなドイツの割にはとてもアバウトなため、税務署の担当者ですら毎回言うことが違う・・・というなんともいえない状況になっているのです。
日独間で取引をする際の「付加価値税の取り扱い」について、ドイツの税法上では、必要な書類や情報についてはとても曖昧に記されています。
ドイツ側の税理士、弁護士、税務署、果ては商工会議所まで日本への非課税請求書の書き方など詳細を聞くために状況を説明して尋ねると、全員「基本は不要。 でも請求額が数百万とかを超えないなら悪いことは言わない。 税金かけといて、日本の会社は日本で還付してもらうなり、そのままなり、という選択を取った方が良いと思う」とのこと。
注意:日本側からは「免税対象から税金を取得した場合は、日本へ税金を支払わないといけなくなる可能性も出てくるので、気をつけて」という意見もありました。
日本側のジェトロや税理士、在日ドイツ商工会議所に尋ねれば、基本は免税措置が取られるので、基本的に付加価値税19%は不要という返事が多くなりました。
注意:在日ドイツ商工会議所のドイツ人担当からは、「基本は不要だが、書類がいる。 しかしその書類が明確化されていないので、ドイツ側で確認し直すように」と言われました。 ジェトロからは「書類があった方が確実かもしれないが、断言できません」とのことでした。
なぜドイツ側と日本側の意見が微妙に違うかというと、ドイツからの非課税での請求書は、税務署の担当者によって理解が曖昧なので、請求書の必要記載事項が載っていればそのまま通ってしまうケースが多くあります。
→ 2024年追記・修正 ーーー
単品価格で800ユーロ以下*の製品制作をドイツで行なった場合:
利用する目的・場所に関わらずドイツで利用する製品の場合は、全て19%税が必要となります。 この場合、仮に日本での居住者証明や納税番号などをアポスティーユ付きで提出しても不可。
ただし!全てを欠ける事なく日本に持ち帰ることを税関や公式な書面で証明出来る場合は19%不要となります。 *業者の会社形態により価格の上限が起こる場合もあります。
2019年6月時点でドイツ商工会議所に問い合わせた結果の内容です。 数ヶ月後には全く違っていたりすることもあるので、面倒でもその都度状況を説明して確認することを勧めます。
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ドイツでは10年間監査が入ります。 監査で問題があった場合、担当者によっては求められる書類が違うことから、後からどのような書類を求められても問題ないように税務署に確認して書類を集めておく必要があります。
この10年間保存しなければいけない請求書や書類を正式な監査や、担当者の気まぐれな書類の再チェックで「不正!やっぱり不正確!」となり、追加書類の請求を求められたりすることがあります。 その場合、書類が揃っていなかったり請求書に不備があった際には多大な罰金を支払うことになりかねません。 そのため、ドイツ側で処理する方はより神経質になるというわけです。
大企業にはこの付加価値税の問題のためだけに働く税理士さんや弁護士さんチームを集めていたりもする位に、大変難しい問題です。 当然、中小企業にはそんな余力はないので、危機に備えて万全の対応を心がけるしかできませんが・・・
以下は2024年の現時点で確認できた「見本市」に出展する場合に19%税を免除するために必要な書類と思われるもの
ドイツ側で用意する請求書 (通常の請求書に加えて書き込む内容)
1 請求先のVAT番号(あれば) および 法人番号
2 サービスの受益者の拠点が日本、見本市出展のための付加価値税不要 という法律的一文(パラグラフ)
3 出展した見本市・展示会の名称、日程、出展した場所まで明記する
日本側で必ず準備していただく書類は1点。 一度提出されれば(内容が変わらないなら)再提出は基本的には不要。 2018年追記:書類の有効期限があります。 出来れば2年毎くらいに、書類がまだ有効かどうかを再チェックしてください。
2024年追記:法人番号など必要事項が揃えば必須ではない(ですがあった方がいいかも、という曖昧な返答あり)
4 「この会社は日本にあって、日本で税金を納めている会社です」という証明。
「登記簿謄本」(現在事項全部証明書あるいは現在事項一部証明書) もしくは「居住者証明書」を管轄税務署へ提出し証明=アポスティーユ(公印確認付き)を取得する(英語またはドイツ語)。
取りやすいのは、「居住者証明書」のため、弊社はいつもこちらをオススメします。
居住者証明の取り方 → 説明リンク:国税庁HP: No.9210 居住者証明書の請求
絶対に必要とまではいかないが、あればさらに安心な書類
5 発注書や受注書、受領書に支払い証明、受け取り証明
これだけ揃えておけば安泰とのことですが、「でも、もしかしたら不備があると言われて罰金がかかることもあるかもしれません」とは税務署の担当さんからのお言葉。 一体、誰を信じたら良いのか・・・
ちなみに、上で出てきた法律的一文(パラグラフ)は様々な条件によって、書き込む番号が違います。 ベストは自分の状況を説明してどのパラグラフが適しているかを各機関で教えてもらってください。 (弊社は毎回困ったら、状況を全て説明してドイツ商工会議所にどのパラグラフが適しているかを教えてもらいます)
参考までに → リンク: Umsatzsteuergesetz (UStG) § 3a Ort der sonstigen Leistung
2024年追記:見本市に限らず請求先が日本であること(サービスの受益者の商業活動が日本、非課税の理由と提供する商品・サービスの内容に応じてパラグラフを記載 by IHK)
日本に本社があってドイツに支社があり、費用の支払いは日本からの場合・・・弊社では、できたらドイツ支社に支払ってもらえるようにお願いします。 日本本社からの支払いの場合は同じように書類の提出で免税としています。←2019年追記:製品の価格、サービスか製品の違いにより適時変更することとなりました。
日本側でできることは、ドイツからの請求書、支払い証明、法人番号、居住者証明などを日本の税務署に持っていき、還付を受けることが可能です。 日本で税金を納めていることが、還付の必須条件になります。
EU国内でもVAT番号(付加価値税登録番号)が無い場合は、残念ながら19%税の支払いが必要です。
2024年追記:日本でも導入されたインボイス制度、VAT番号(付加価値税登録番号)の代わりとなる番号ができました。それに加えて会社の番号「法人番号」。これらは欧州・ドイツの税金システムとは違いますが、どちらも請求書に記載する必要があります。
居住者証明は必須ではないが、後から用意をするように言われることもある可能性がある。その時に、万が一(縁起が悪いですが)依頼主の会社が倒産していた場合などは、当時に存在していたという証明などが必要となると苦労も数倍に増えるかもしれません。
最初に用意しておいて、双方が安心しながら付加価値税が免除された非課税の請求書を発行してしまうのが一番いいのではないかと思います。
還付制度の詳細などはジェトロのページを参考にしてください → リンク: ジェトロVATの還付制度:EU
将来的には、日本もEU連合国に準ずるような形で付加価値税問題もスムーズになるだろう・・・と言われ続けて数年経ってしまいました。
2016年に日独間の新租税条約も発効され・・・いまでもまだ複雑ですが、そのうち中学生でも分かるくらいに分かりやすく定まって、必要な書類や手続きが明確に指示されるようになればいいな、と願います。
付加価値税や税法について、さらなる詳細や質問は専門家にお問い合わせください。
弊社では、見本市出展のための各種印刷物や展示パネルなどの手配から通訳派遣、市場調査までさまざまなサービスを行っております。ご用命の際にはお気軽にお問い合わせください。 日本からのご連絡も、ドイツからのご連絡もおまちしております!