開催期間 | 2022年11月12日〜15日 (9:30〜18:00) |
場所 | ドイツ・新ミュンヘン国際見本市会場 |
開催周期 | 2年毎に開催 (偶数年) 次回は2026年11月10日〜13日 |
WEB | https://electronica.de |
特記 | Productronicaと交互に開催 同時開催:SEMICON EUROPA |
ミュンヘンで30年以上にわたり開催され、世界のトップメーカーの最新技術と製品が勢揃いする、業界屈指のリーディングメッセ「electronica」。当見本市は電子部品・製造機器・光技術からパワーエレクトロニクス、セミコンダクター、電子基盤・回路関連分野まで、エレクトロニクスの全てを網羅するヨーロッパ最大のポータルを提供します。また、重要な業界関連団体・組織、専門メディア、ならびに官公庁からの協力を得てエレクトロニクス市場で成長している分野に焦点をあてたトップクラスの会議、フォーラムプログラムも充実しています。
参考・引用元:メッセ・ミュンヘン
1964年に初開催されたelectronicaは、今年60周年を迎えました。「ネットワーク」「セキュリティ」「信頼性」追求を根底にすえつつ、右肩上がりに技術力が向上する時代を牽引してきた、エレクトロニクス産業と市場の全領域をカバーする展示会です。
今年は初めて、メッセ・ミュンヘンの全18ホール(約19万m2)を使用し、約60カ国から3,450の出展社が参加しています。76%が海外からの出展社で、EU内のみならず、アジアからの参加も多く、非常に国際色豊かな展示会です。また、今年の来場者は約8万人と、過去最高記録を達成。
メインテーマは、「サスティナビリティ」「人工知能(AI)」「自動車/Eモビリティ」「後進育成」で、サブテーマには「コネクティビティ」「Eモビリティ」「オートメーション/インダストリアル」「スマートホーム/建物/インフラ」「セキュリティ」「エネルギー/エネルギーサプライチェーン」といった、旬な話題を据えています。
ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、米国、中国の消費者に行われた事前アンケートでは、エレクトロニクス業界での一番の注目は、「サスティナビリティ実現のためのデジタル技術の可能性」という結果が出ています。この分野での、業界の今後の成長と貢献への期待が見て取れます。
また、現代的な分野として、ゲーミング技術や人工知能(AI)、アプリ開発技術といった、私たち消費者にとって日常生活で欠かすことのできない、エンターテインメント性の高い分野の大きな発展と影響があります。
技術の発展が身近に感じられる一方で、課題も指摘されています。
コロナ後、停滞を取り戻す勢いで伸びた需要が、ピークを超えて減少傾向にあること。例えば半導体など、需要サイクルが変化した製品の供給体制への、難しい対応が求められていること。サプライチェーンが国際化したことで、国際政治などの影響を大きく受けるようになっていることを実感している企業も多いようです。
また、ドイツというと理系が強いイメージがありますが、MINT(科学・技術系)を専攻する学生が足りないということで、慢性的に専門家が不足していること。そして、ドイツでは、高止まりしているエネルギー価格などが製造業を弱くする、電動自動車の普及を妨げるといった問題を引き起こしている…など悲観的な見方をありますが、一方で、その課題克服を実現する可能性を持つのもエレクトロニクス業界、との自負も見受けられます。
技術は、日々進歩しています。次回2026年のelectronica開催時には何がメインテーマになっているか。楽しみに待ちたく思います。
同時開催のSEMICON EUROPAは、今年は2ホールを使って展示していました。
産業用コネクティビティの大手、スイスのHARTINGは、全世界の輸送、エレクトロモビリティ、再生可能エネルギー、オートメーション、機械工学の分野で活躍しています。
近年は特にデジタル化にも力を入れ、自社製品のコンフィギュレーター・システムなども提供。ガイダンスに従いスペックや性能フィルターで自社製品をチョイスして部品をデザインし、他社のシステムとも組み合わせて設計に取り入れることができるとのことで、使いやすく、組み合わせた状態が3D表示されるため視覚化に優れ、とても便利に感じられました。
日本法人は1985年に設立、現在は横浜に拠点を持ち、大手産業用結線技術メーカーとして、すべての汎用サイズとコーディングの丸型コネクタの包括的製品群を提供しています。
鉄道、ロボット、産業用ケーブル、また、近年は、水素や風力など再生可能エネルギーの分野やオフハイウェイのエレクトロ・モビリティ分野でも活躍しています。例えば、自動車製造大手トヨタ社とは、DC充電プラグのコネクターでお付き合いがあるそうです。日本と世界でのさらなるご活躍を期待しています。
ドイツのAARONIA は、RF測定装置、リアルタイムスペクトラムアナライザ&アンテナのメーカーです。黒を基調とした、独特なスペース感のあるブースデザインが目を惹きます。SF的なムード漂う大型ディスプレイはスペクトラムの色が美しいブース構えでした。
AARONIA はハイテク専門メーカーで、主に低周波と高周波の測定技術用のスペクトラムアナライザーとアンテナを製造しています。世界をリードするドローン検知システムなどが、いわゆる西側諸国を中心に世界中で数多くの空港や防衛関連施設で使用されています。装甲トラックに装着されているドローン探知アンテナなど、日常生活では見ることが難しい製品を展示していました。
同社の製品は日本にも代理店を通じて展開し、港などの安全監視に使われているそうです。
イタリアのTEKOは、電子機器メーカーにトップクラスのエンクロージャーを提供しています。
展示されていた可愛らしいペンギン型ケースがきっかけで、お話を伺わせていただきました。1957年の設立以来、ビルディングオートメーション、自動車、医療機器、実験装置、セキュリティシステム、通信技術、環境モニタリング、IoTなど、さまざまな分野で業界をリードしています。
とくに、テーラーメイドのソリューション提供にこだわりがあり、長年の経験を活かして設計、開発、製造段階で顧客サポートを行なっています。ペンギンも、コラボ製品とのこと。また、近年はサスティナビリティの観点からバイオプラスティックにも目を向けています。日本にも代理店があるとのことで、これから展開が広がっていくと思われます。
日本からは、60社を超える出展社数を記録しました。現地法人などからの出展で「日本」とはカウントされていない企業もあるため、日系企業の実際の数はさらに多いと思われます。
また、電子機器および産業用エンクロージャーのメーカー・タカチ電機工業のようにコロナ禍を経てカムバック出展の企業もあり、業界での日系企業の存在を感じることができました。各企業の高い専門性に加え、それぞれ独自の個性が目を惹きます。
日本で初めてオシロスコープを開発した岩崎通信機株式会社(IWATSU)と、ドイツの測定技術提供PMKの、合弁会社です。IWATSUブランドを欧州と米国へ、PMK製品をアジア市場へ展開しています。
「半導体カーブトレーサ」がイチオシ製品で、CS-8000シリーズは、最大ピーク電圧5kV、最大ピーク電流2,000Aの高電圧・大電流に対応。パワーデバイスの開発・生産や、自動車用インバータ・電源設備などの高電圧・高周波駆動化による省エネルギー化に貢献しているとのことです。
競合が少なくなってきている分野に対応できていることが、伸びている秘訣ということで、うまくニッチに合っているなと感じました。
茨城県の「ものづくり企業」の海外展開をサポートする公益財団法人からの出展も見られました。海外進出支援、経営・技術コンサルティング、販路拡大支援など幅広い支援を行っています。
昨年は、ドイツのデュッセルドルフで開催される医療技術展示会「Medica」に出展、アジアではタイの工作機械展示会「Metalex」に注目されるなど、今後も海外展示会出展などに取り組んでいくとのことです。electronicaへは初出展で、優れた工業製品・加工技術を持つ10社が参加しました。
出展10社
独自技術で材料を削減し、軽量、フレキシブルな、モーターの回転角センサーなどを出展している愛知県の自動車部品メーカー・松尾製作所。質量の原因となる積層部品をシンプルな新構造にして、軽量化を実現。 また、構成部品が少なく簡単な構造であるため耐久性、耐環境性に優れます。
中国に拠点を、米国に工場を持つなど、海外進出に積極的に取り組まれています。モジュール化した部品は、日本メーカー向けに展開していますが、中国や欧州の自動車業界とのお付き合いも進行中、とのこと。EV、ハイブリッドに使用される電池とインバーター主回路をつなぐユニットなども製造しています。軽量構造の「レゾルバ」が、いち押し製品です。
優れた技術力に加え(もしくは、それを上回る)威力がある、同社のキャラ「マツオちゃん」も忘れてはなりません。自社製品を装備したアニメキャラは、カラフルな配色がパワフルです。相性の良い「オタク」と「テクノロジー」を融合した「オタクテック」をベースにした、グループ会社のアニメ制作「エルフィン」によるコラボ作品です。
ドイツでも若い世代には、日本のアニメで子供時代を過ごした人たちが増えています。「マツオちゃん」の今後の活躍がどうなるか?期待したいと思います。
electronicaとproductronicaに合わせて5回目の出展となる大貫工業所は、自動車用部品などに向けたアルミ合金鋳造製品メーカーです。コロナ禍を挟んで出展を続けていますが、ドイツ市場の冷え込みのためか、今回の手応えは最良ではないとのこと。現在は、少し方向性を模索しているとのことですが、見本市への度重なる経験からの知見を用いして活路を見出すことが出来るでしょう。
専門家としての高い技術と深い専門知識への追求はそのままに、異業種への展開や、販売先(例えばスイスなど、高付加価値のある市場)の開拓なども検討されているとのこと。時代の転換期であることを感じて、舵取りに取り組んでいるとともに、時代の空気に流されず、日本の良い点である、良い製品やサービスを追求する「ものづくり」の心や社会の枠組みが失われることがないように、と代表の言葉に、いろいろと考えさせられました。
札幌市からは、企業誘致活動のための出展です。特に半導体分野などを中心に、事前マッチングなどを行いつつ、欧州企業を中心に札幌のメリットをアピールしています。今年10月には、英語でビジネスから生活までの支援をワンストップで行う「札幌海外企業受入ワンストップ窓口(Sapporo Transnational Expansion and Partnership: STEP)」を設置し、ITや再生可能エネルギー、半導体の海外企業誘致促進を目指しています。
また、地元企業との協業による新たなビジネスチャンスの可能性も模索中で、実際、企業と共同出展すると、さらに注目度が高くなる傾向があるということです。
札幌市と共同出展で海外との産学協同促進を目指す北海道大学が出展。同大学では今年、「産学連携グローバル推進室」を産学・地域共同推進機構内に新設し、アカデミーとインダストリーをつなぐ、日本から海外への情報発信に力を入れています。
今回は、特に高機能材料、半導体プロセス、自動車関連技術などの分野の先端技術情報を紹介していて、今後は、欧州企業とのコラボレーション実現をさらに推進していく予定です。北海大学はボストン、シンガポールでの推進活動も行っているとのことで、今後のさらなるグローバル展開が期待されます。
2022年のelectronicaに続く出展となる JX金属は、銅箔と樹脂フィルムの複合材で、薄く軽量で高剛性を持つ新しい技術ソリューション「電磁波シールドケース Mighty Shield®」を主に紹介・展示していました。
フレキシブルな3D形状加工ができ、様々な
同社は高強度の材料や新合金の開発に力を入れており、また、「圧延技術でニーズに応える」ことをベースに、世界展開を続けている意欲的な企業です。
コロナ後の初出展となるファインネクスからは、金属線材の加工技術による、半導体接続部品などに使用されるコネクター端子などを中心に展示していました。
ドイツの展示会は、日本に比べて、新規の方が展示を見て興味を示されることより、事前にアポを取って商談をする、という傾向が強いという印象を持ったそうです。潜在的ターゲットへの事前告知など、日本と違ったアピールが、効果を高める手段のひとつですね。
同社の部品は、欧州メーカーに採用された場合にはアジアの生産ラインに組み込まれるケースが多いのですが、開発主導は欧州が握っているため、ドイツに代理店を持ち欧州企業にアピール。イタリア、フランスに加え、東欧やオーストリアなど、欧州全土にひろく顧客を持ち事業を展開しています。
今回の目玉は、金属ワイヤーを加工した、1ミリメートル(mm)x 1mm以下の微小な半導体部品接続用部品「銅ピラー(ピラーピン)」です。従来の球形ハンダボールと比べ、高さのコントロールとスペース節約に優れるため、世界中のメーカーから引き合いがあるとのこと。
「小さな部品で世界を繋ぐ」ため、ものづくりの生産性を極限まで高めて行くことを目指し、社内に2000台の加工機を備え、億単位の量産体制を確立している、頼もしい会社です。
初出展となるエレファンテックは創業10周年を迎えた
新しいものづくりの力で、持続可能な世界を作る
をミッションに掲げる企業です。低炭素で基盤が作れる技術を開発し、世界最大級の携帯電話関連展示会MWC( GSMA Mobile World Congress)にも出展。世界を意識し、エレクトロニクス産業の革新を目指します。
今年も各国からのパビリオンが見られましたが、露出が少し減っていたチャイナパビリオンが少しずつ元の勢いを取り戻していたように思えます。
また今年はアジアや東欧諸国からのパビリオンの存在感も高かったように思います。
エジプトも個人的に頑張って欲しい国のひとつです。
今年は初日と最終日は少なく、中日に来場者がぎゅっと集結していた印象です。 ちなみにジャーナリストは初日、二日目と多数訪れていて速報をアップする記者、じっくりインタビューをする記者が各地で見られました。
ゲームに興じてお土産を持って帰るコーナーを設けるブースも意外と多い。Digikitのブースでは行列に並ぶだけで1時間は取られてしまいそうな長蛇の列に。
個性的なブースも多く、カンファレンスも多数開催されたelectronicaは次回開催年は2026年。
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