開催期間 | 2018年11月13日〜16日 (9:30〜18:00) |
場所 | ドイツ・新ミュンヘン国際見本市会場 |
開催周期 | 2年毎に開催 (偶数年) |
WEB | https://electronica.de |
特記 | Productronicaと交互に開催 同時開催:SEMICON EUROPA |
ミュンヘンで30年以上にわたり開催され、世界のトップメーカーの最新技術と製品が勢揃いする、業界屈指のリーディングメッセ「electronica」。当見本市は電子部品・製造機器・光技術からパワーエレクトロニクス、セミコンダクター、電子基盤・回路関連分野まで、エレクトロニクスの全てを網羅するヨーロッパ最大のポータルを提供します。また、重要な業界関連団体・組織、専門メディア、ならびに官公庁からの協力を得てエレクトロニクス市場で成長している分野に焦点をあてたトップクラスの会議、フォーラムプログラムも充実しています。
参考・引用元:メッセ・ミュンヘン
2018年のファイナルレポートでは、前回に比べさらに増加した50カ国以上から3100以上の出展社を記録。 80カ国以上から業界関連者80,000人が来場し、アンケートでは99%が「良い見本市だった」と評価しました。 2016年に比べて出展社は8%、来場者は10%、会場面積は20%の増加を記録しています。 また今年は日本からも多くの出展社が集まり、日本国内でもドイツ・ミュンヘンのエレクトロニカへの関心の高さを感じ取れました。
2018年は新たに3ホールが加わって合計17ホールで開催。 A4ホールにはSEMICON EUROPAとしてセミコンクラスタが集合しました。
C6ホールでは electronica Experience 新たなエレクトロニクスへの実験と未来のエレクトロニクス業界を支えるであろうエンジニアたちのキャリア・イベントを行いました。 多くの学生や未来のエンジニアが参加していました。
ホールが増えてより広くなった会場では、今年は目当てのホール会場へのスムーズなアクセスのため、入出場口も5箇所に増え、また今回初の試みとして、Messe West(メッセ西出入口)からすぐのICM会場では、electronica Conferences (eMEC, eAC, eEPC, Wireless Congress)も行われていました。 より専門的で革新的なカンファレンスへの参加者は多く、恐らく次回も行われるのではないかと推測します。
シビュラシステムが実現してしまう・・・そんな日も近いのかと感じられる技術と製品を目の当たりにした今年のエレクトロニカ。 シビュラシステムとは、「踊る大捜査線」の演出:本広克行監督と、欧米の皆さんにも人気のアニメ「攻殻機動隊」を手がけたアニメ制作会社が製作したアニメに出てくる「生活監視(支援)システム」です。 近未来的な世界観で、精神状態・性格・各種情報から判断して、シビュラ・システムによって市民の職業や生活を選択・確定します。
行動・思考を計る
まだここまでの強制力はありませんが、中国が近年実施している社会信用システムが、類似したシステムではないでしょうか。 中国では、屋台も、タクシーも現金支払いを拒否したがったり(実際出来ない場合も多い)、路上生活者なども含めて、ほぼ全ての人が携帯を持ち、現金からデジタルマネーに移行しつつあります。 そして携帯がほぼ完全に普及しつつある今、ネット上での個人個人の商品購入履歴、趣味趣向、活動や思想なども収集・解析して採点します。 並行して、現実世界でも市内や道路にカメラや測定機などを設置し、実際の行動も採点し、総合して個人の格付けを行ないます。
例えば、オンライン上で犯罪傾向のある趣味趣向が無いかどうか、街中での信号無視などの行動をシステムで監視・計測し、ポイントを減点・付与します。 取得ポイントによっては、優遇されることもあれば、飛行機などに乗れなくなるなど行動が制限されることも出てきます。
現在はまだシステム確立のための実験段階ですが、近い将来にはシステム上での高得点者のみが国外に出る事が出来る、良い職業につける、などという世界も起こり得るわけです。
精神状態を測る
また、シビュラシステムでは、犯罪係数と呼ばれる「犯罪者になりうる可能性」を数値化します。 その数値が一定値を超えてしまうと、実際に犯罪行動を起こしていなくても、処罰が下されます。
「犯罪者になりうる可能性」を判定するシステムに近いものに、ロシアで開発された精神状態を判定する「DEFENDER-X」があります。 このシステムは人間の振動や体温を抽出して、精神状態や感情を自動解析し、犯罪を未然に防ぐシステムです。 実際にソチ・オリンピックなどで効果が実証され、現在ロシアはもちろんドイツと日本でもすでに採用され、世界にも広まりつつあります。
感知システムがどのように、そしてどれ位正確に、人の微細な動き、振動、体熱などを感知して解析するか、が重要になります。周波数、振動、光センサーなどで感知され、ほぼ一瞬でビッグデータやAIを利用して解析・判断されます。 この様な技術はすでに様々なシーンで応用されています。
人以外を解析する
エレクトロニカの来場者には馴染み深い、半導体素材・石英ガラス(クオーツ)。 十数年前は5mm 、そして数年前には2mm、 現在はわずか1mm単位の大きさでも素材としての役割を果たします。
エプソンからは、今回、新しい製品技術がお目見えしました。 この新しい技術では、例えば、建築物や橋桁などに設置することで、建造物の出す細やかな振動、周波数を検知し、変化を読み取り、これまでに蓄積したビッグデータと照らし合わせ、目に見えない建築物の老朽化を察知することができる様になります。 建築物自体には全く損傷を与えることなくスマートに、危険を事前に予防します。
人を解析する
太陽誘電からは開発がちょうど終わったばかりの製品技術から、すでに様々な場所に取り入れられているであろう技術まで、テーマ毎に分かりやすくまとめて展示されていました。
その中でも特に興味深かったものは接触型で人体の低周波から精神的・肉体的なストレスを読み取る技術。 呼吸と脈拍を感知し蓄積されたビッグデータから解析します。 非接触型よりもより詳しく読み取ることが可能です。 医療の現場や企業内のストレスチェックを始め、意思疎通の難しい赤ちゃんやペットなど状態を見ることも可能です。 また応用すれば、危険な現場や運転中の心身状態の以上から居眠り状態まで感知することも可能です。
エレクトロニカのファイナルレポートのタイトルにもある 「Die Elektronik der Zukunft ist smart und sicher」 スマートで安全な未来のエレクトロニクス、に相応しい様々な技術が多く見られました。
「私たちの会社が取り扱う製品は色々あるんだよ。 テレコム、アプリケーション、部品・・・そして、それぞれの分野の顧客たちは私たちの会社がそのほかの分野の商品を取り扱っている事は知らないことも多いし、知っていても興味を持たれた事は少ないんだ」と、DELTAのマーケティング担当。 「だからこそ、エレクトロニカでは一目で私たちの取り扱う商品・製品を見てもらえるようにそれぞれに仕切りをつけず、自由に見てもらえるように配置した。」
また製品展示の反対側では、ポラロイドで写真を撮影するコーナーを設置。 撮影した写真はプレゼント。 プレゼントした画像をSNSにアップする許可を貰えればさらにプレゼントに応募することが出来ます。 SNSでのプレゼント企画に参加してくれる人が多くなれば自社のフォロアーも増え、オンラインでの認知度も上がるでしょう。 写真を撮影してプレゼントする事で、自社への印象がよくなるかも知れない、よく覚えておいてもらえるかも知れない、という良い事尽くめです。
「来場者は、未来の将来有望なエンジニアかも知れないし、取引先になりうる営業や経営者かも知れない。 写真一つで自社のイメージ戦略が達成されるなら安いもの」
こういった考え方のマーケティング手法は頻繁に行われています。「まずは社の成り立ちと製品について知ってもらいたいから、楽しんでいって」と、自社の認知度を高めるため、イメージをよくするため、出来たら商談も期待して、ウェルカムモードなブースが多い印象です。 もちろん、訪れるブースによっては「商談相手にならないならお断り」「アポがいっぱいで、余分な時間はありません」というブースもあります。
物も情報も溢れている中、顧客に選ばれるための様々なマーケティング手法を実際に見て、学べるのも見本市の良いところです。 TPOを考慮して、自社に合った方法を常に選ぶことが大事です。
中国からの出展はどの見本市にも多数出展していますが、今回はさらに予想を上回る規模でした。 加えて、アジアからも多く、あまり見かけない国のパビリオンもいくつかありました。
毎年お馴染みの会社から初出展の会社まで様々ですが、今年は本当に日本からの出展社が増えていたようです。 そのうちのいくつかをピックアップしました。
例えば新しい商品を発表したとします。 発表時は問い合わせがいくつか・・・翌年には注文が数件・・・翌々年には注文が一気にその数倍になる・・・という事がスクリーングラスなどの業界でも起きているとの事。 スクリーングラスの需要は従来の「ガラス」としてではなく、モニターや自動車関連でも大きく、今後目が離せない製品の一つではないでしょうか。
ちなみに、携帯などの小さなスクリーンには対応できるのか?と質問してみましたが、「出来るけどコストの面で採用されないよね」との事。これも数年後にはきっと可能になっているのかと思うと楽しみで仕方ありません。
個人的に気になった、高周波を利用して開発された新しい機能。 携帯ではすでにお馴染みのタッチするとブブッと振動するタッチ操作バイブ機能。 操作している感がより感じられるのですが、太陽誘電ではさらに進化させた「スワイプさせると振動する スワイプバイブ機能(勝手に命名)」を開発しました。 この機能の優れた点は
例えば車載機能として採用されれば、運転中でもナビの画面を見ることなく触感で操作が可能になります。 医療の現場に応用されれば、視力障害があっても操作ができる。 どうしても暗闇での操作が必要な際にも応用される可能性もあります。
エレクトロニカは Technik macht Spaß (テクノロジーは楽しい) という気持ちを思い出させてくれる見本市でもあり、未来を担う若者に実感してもらう見本市でもあります。 より革新的な技術の進化を期待して、また2年後に!
弊社では、展示会で必要不可欠な名刺やカタログの印刷・会場までの納品、展示会出展の準備からアフターフォローまでサポート致します。 視察サポートや通訳手配、(真面目な)視察レポート等も承っております。
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