開催期間 | 2022年6月12日〜6月14日 (9:00〜18:00/最終日のみ17:00) |
場所 | ドイツ・ミュンヘン MOC 会場 |
開催周期 | 毎年開催 |
WEB | https://www.ispo.com/outdoor |
特記 | 次回は2023年5月22日〜5月24日 |
OutDoor by ISPOは、新しいコンセプトを掲げて欧州最大のアウトドア見本市OUTDOOR Friedrichshafen から2019年ミュンヘンに移転しました。 アウトドア、アクション、スポーツファッション、パフォーマンススポーツ、テキスタイル素材、ヘルス&フィットネスなどを取り扱うサマー・アウトドア・スポーツ用品の国際的な展示会です。
2022年は会場をいったんミュンヘンMOCに変更し、3年ぶりの開催となりました。
Outdoor by ISPO は European Outdoor Group (EOG)と共に6月12日から6月14日までの3日間で1018の国際出展者が最新の製品・最先端スポーツグッズなどを展示し、8000人の業界関係者が来場。 来場者の約3分の2、そして出展者の7割がドイツ国外からの参加でした。 特に中核を占める欧州をはじめとする70カ国からのディーラー・バイヤーやブランド担当者たちが一堂に会した3日間となりました。
今年のOutDoor by ISPOのメインテーマは「Celebrating the Outdoors – Let’s shape the future of our industry. Together」(多少意訳に近いですが:アウトドアの祝祭 アウトドア業界の未来を形作っていこう。みんなで一緒に!)です。
再生可能な価値の創造をいかに成功させるかは、OutDoor業界でも重要なテーマです。 業界の普遍的なテーマでもある顧客満足の強化や、サプライチェーンの相互利益型エコシステムへの移行。 サステナビリティを保ちながらもビジネスとしての成功を持つには、また、ESGの可能性など、そのほか社会問題を中心に多くの講演が行われました。
共に形作る業界の未来には、アウトドア業界の関係者・製造者だけでなく、それらを取り巻く全ての環境と関連業者に消費者も巻き込んだ持続可能なビジネスシーンです。
サステナビリティ(持続可能性)は、もはや常識で実行されているべき「コト」のひとつとなった現在、素材の厳選、製造過程から消費者の手に渡った後にも続くサステナブルな商品が求められるようになっています。
PFCフリー、Bluesign®︎プロダクト、Klimaneutral(カーボンニュートラル)、PET(リサイクルポリエステル)などなど、テキスタイル業界、アウトドアプロダクト業界でよく耳にする単語やマークの数々は増加傾向にあります。
これまでの活動の動きとして、使用する素材を地球に優しいモノに変更する。 製造過程で消費される資源・エネルギーを極力減少させる。 という製造側の行動に重点が置かれていましたが、近年はそれらを手にした消費者側の協力や取り組みも考慮された持続可能な製品作りをおこなっているメーカーが増えているように感じます。
DEUTER(ドイター)は、今年125周年を迎えました。 元々は’アルプス’をコンセプトにした優れたアウトドア製品を輩出していましたが、現在はハイキング・トレッキング・バイキング製品が主要製品となり、消費者にも定着しているのではないでしょうか?
2019年にはロゴをマイナーチェンジ、2020年には完全PFCフリーを達成、2022年にはルーツに戻り ‘Alpen’をテーマとしました。これまで以上に投資を行った結果に生み出された「技術」そして「デザイン」と「CSRファブリック」の3つの基軸で、現在人気も出てきているトレイルランニング製品に力を入れています。
環境にも、消費者にも、また製造に関わる全ての人にも優しい、360度の視点でSDGsに取り組んでいます。 また、早くから取り入れているリペアシステムは、ドイツだけでなく世界中ドイターの商品を取り扱う国で行われています。
ところで、女性用の製品を意味するシンボルだった「黄色い百合の花」もPFCフリーのため、別の黄色いタグに変更されました。 この点だけは少しだけ残念かもしれません。タグもまたそのうちに、花の形になればいいなと勝手に希望しています。
これまでにあまりピックアップされてこなかったキーワードに、「消臭」があります。 日本では消臭剤や消臭スプレーなどが多く販売されていますが、ドイツでは乾燥しているからかあまり重要視されてこなかったような気がします。(私が気にしていなかった可能性もありますが)
ところで、みなさんは何時、どのタイミングで、洋服や靴を洗うのでしょうか? 汚れがひどくなった時? まだ綺麗だけど匂いがついてしまった時? 例えば、かなり汗をかいた翌日の洋服(シャツやズボン、靴下)に見た感じ汚れはなく、サラッとしていて香りも匂いが全くしなければどうでしょう?
スウェーデンのPolygiene®︎が提唱するのは、製品を製造する際にどれだけ環境配慮を行っていても、実際に消費者の手に渡った後の方がエネルギーの消費が高いという点です。 製品が製造から廃棄までに使われるエネルギーを1とするなら、製造時に1/3程度、洗濯、乾燥機、アイロンをかけて廃棄するまでの期間で使われるエネルギーは2/3程度になります。
エネルギーの消費を下げるには洗濯の回数を減少させること、つまり「汚れにくく」「香りが良いままで保てる」。 そして洗濯の回数が減少すれば生地の傷みも抑えられるためより長持ちします。
そこで生地自体に匂いを抑える効果を埋め込んでしまおう、汗を臭わせないようにと開発された技術がポリジン加工です。 この技術はすでにさまざまなアパレルブランドの生地に組み込まれています。 わたしたちに馴染みのある肌着、衣類、スポーツウェアにフットウェアなど肌に密着するものに応用されています。
日本代理店もあり、すでに多数のアパレルメーカーで採用されています。
とてもダイレクトな商品名 SmellWellはスウェーデンで2012年からサッカーシューズの匂い問題を解決しようという取り組みから始まりました。
湿気を吸収して脱臭する天然素材(竹)を利用。 素材自体にフレグランスをつけることで、自然に優しく人体にも害にない香りが自然に発生します。 香り自体は無くなっても、消臭効果が消えるわけでは無いので、むしろ無臭が好きなタイプの人には長期間にわたって使える消臭剤(匂い袋)です。
もし湿気が多すぎ(ドイツではあまり考えられませんが)て、効果が薄まったような気がする場合は、日光に天日干しすることで再生されます。 廃棄しても中身も外側も環境に優しい素材をりようしていることは語るに及ばず、です。
今年も昨年に続いて自然に優しい虫除け素材や、虫刺され対策グッズも散見されました。
欧州特有の森林や草むらにいるツェッケン対策ソックス。そしてアウトドア中で無防備かつ、虫に刺されたらイラっとする場所の手指と顔まわりを守るため、帽子やネックウォーマー兼日焼け対策のテキスタイルにもNosilife技術や新しく開発された技術でしっかりと虫除け対策が施されています。
P.A.Cはその製造する全て織物製造をドイツ国内だけで生産し、サステナビリティを重視したテキスタイルだけを製品に利用しています。 環境を守るためにプラスチックフリーの素材を利用し、かつ今年は虫除け効果もあるネックウォーマーを発表。
蚊に刺されて痒くなった時、爪で十字を切る、叩く、冷やすなどいろいろな方法がありますが、ZAP-ITは、Piezo-Elektrizität(圧電効果)で電池や化学物質を使用せず安心です。 刺された患部周辺を軟膏などを塗布する前に3回〜5回程度真っ直ぐにして抑えて打ちます。 パチッという小さな音と刺激が患部の痒みを止め、効果のほどは「ある」人と「ない」人が極端に分かれるようです。 同様の商品はすでにありますが、小型かつ持ち運びしやすい点でおすすめです。
Outdoor by ISPOが招聘したウクライナからのいくつかのアウトドア系メーカーのブースは、光と影のコントラストに満ちていました。
出展社のTurbat担当者曰く、「現在実際に私たちが直面しているシェルターを影とするならば、これまでに得た技術や製品の特性をフル活動して戦争を支える製品を作っている面を光とする。 今はほとんどの工場で軍用品を作っているけれど、大変な状況でも、これまでに得た技術が活用されている。わたしたちはまだ活動をしているし、今の状況でもアウトドア製品の技術的な面での向上や工夫を模索している。全てが終われば、もっと良いアウトドア製品もきっと作れるだろう。」
彼らの工場で自由を勝ち取るための軍用品ではなく、本来の自由を楽しむためのアウトドア製品がつくられる日が一刻も早くやってくることを切に願ってやみません。
一般投票で最優秀賞(人気)を獲得したOrtovox Peak 35 。 デザイン的な観点からも、機能面からも非常に人気が高かったそうですが、特筆すべきはその形状と質感よりも想像を超えた軽さです。
そして、背中に密着する面にはウール素材を利用したことで、吸湿速乾効果もあるので、快適に山登りができます。
スカンジナビアアワードも開催されていました。 さまざまなノミネート製品と受賞作を見ると、これからもスカンジナビア系アウトドアプロダクトは魅力的で目が離せないと再認識します。
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数々の受賞作の中でも、個人的にイチオシはVikingの自動で靴紐が締められるシステム。
持ち運びしやすく、USBで充電も可能なホットシートを販売するOUTCHAIR 販売1セット毎に1ユーロを寄付して植樹を応援するEden Projectに参加しています。 体も心も温まる素敵な商品です。 ちなみに夏の山で必要ないでしょう?と思った方、いいえ、必要な時もあります。 欧州の夏は時々1日の中に冬の気温も混ざっているので油断出来ません。
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日本でもフクロウのマークのネックゲイターやタオルで有名なN-rit これまでにも、冷感触感タオル、スーパードライ(速乾)タオル、スーパーライト(軽い)タオルなど定評あるさまざまなタオルシリーズで人気のある韓国メーカーですが、今回展示されていた新製品Ultra Fine Microfiber Eco-Dry towel は、サステナビリティを意識し、リサイクル率90%に近いエコで機能的なタオルです。 市場に出てくるのが待ち遠しい商品のひとつです。
味気ない缶パン(失礼)とは全く違う、水や少量のお湯だけで作れるオーガニックな即食(非常食)セットがTRAILから販売。 レシピは本格的なまるでレストランメニューなご飯系から、デザートがわりの甘めのオートミール系まで揃っています。 ちなみにレシピは自宅でもつくれるようにHP上で公開中。
ソーシャルエリアでは初日、2日目はコンサートと夜間まで続くアフターパーティーを行い、2日目の朝には会場オープン前の出展者同士のコミュニケーションを図る場も設けられていました。
業界間でのコミュニティ作り、消費者と製造者側のコミュニケーションの場など、360度の関係性が作れる工夫が隅々になされたOutdoor by ISPO 2022となりました。
弊社では、名刺やカタログの印刷、見本市会場への直接運搬手配も承ります。
また、ノベルティなどの制作や、各種サポートが必要な時、お問い合わせはこちらのフォームからお気軽にご相談ください。