| 開催期間 | 2026年06月17日〜18日 (09:00〜18:00/最終日のみ16:00) |
| 場所 | ドイツ・メッセフランクフルト 会場 |
| 開催周期 | 毎年開催 |
| WEB | https://ewaste-expo.com |
| 特記 | 次回開催は2027年05月12日〜13日 |
電子廃棄物、バッテリー・金属リサイクル、ITAD(IT資産処分)および循環型エレクトロニクスに関する世界有数のイベント
参考・引用元:E-Waste 公式HP

講演の様子の写真:展示会場では講演やフォーラムも目白押しで盛況でした(c)著者撮影
6月17、18日、メッセ・フランクフルトでE-Waste-World-Conference & Expo(電子電気機器廃棄物国際会議展示会)が開催されました。
同催しは、世界有数の電子電気機器・バッテリー・金属リサイクルとITAD (IT Asset Disposition)の展示会と各テーマのカンファレンスから成っています。フランクフルトで開催されるのは今回が2回目です。

Eスクラップ(電気電子機器廃棄物から回収される有価金属を高濃度に含む部材)(仏WEEECycling社展示)(c)著者撮影
電子電気機器の廃棄物の回収・分別やリサイクル、物流といった分野の企業・機関が一同に会し、循環型経済実現に向けた革新的な技術やサービスの数々が紹介されました。世界的に電子機器やバッテリーの需要が急増する一方で、これらに含まれる金属資源は限られており、またその供給は地政学的状況に大きく左右されています。そういった中、廃棄物から資源を回収する必要性は今までになく高まっており、バッテリーおよび有価金属リサイクルに関連する展示エリアは、とても活気に満ちていました。
今展の出展社数は約400、来場者数は約5000。各々前年の約340、4000から大きく増えました。国別ではドイツや英国からの出展が多かったものの、日系企業の出展も見られました。
2027年は5月12、13日の会期で開催される予定です。

画像左:同社が用いる溶媒抽出技術をイメージした展示 (c)著者撮影
三菱マテリアルヨーロッパ社は、タングステン、Eスクラップ、バッテリーという、今まさに重要性が高まる3分野のリサイクル事業を紹介していました
高硬度・高耐熱のタングステンは、自動車、航空機、防衛、半導体に不可欠で、需要が拡大しているレアメタルの一つ。中国が世界の埋蔵量の半分以上を占めるとされ、地政学的リスクの大きい鉱石ともされています。
このような背景の中で三菱マテリアルズは、2024年に独H.C.Starck社を買収し、世界最大級のタングステン・リサイクル能力を持つようになりました。これに加え、その他のレアメタルの再生のために、バッテリーのリサイクル事業にもヨーロッパで新たに乗り出すことを計画しています。同社の製錬事業で培ってきた技術を活かすことで、効率よく質の高いリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを抽出することができるということです。Eスクラップ事業は既にスタートしており、需要増が続いている銅などをリサイクルしています。

プロジェクトマネージャVictoria Carnero Rolanさん。電気化学反応機や金属粉末を展示(c)著者撮影
応用研究でドイツ最大のFraunhofer研究機構に属する、生産技術・応用マテリアル研究所は、リチウムイオンバッテリーの電気化学的リサイクル方法を紹介していました。
廃水中に含まれたリチウムイオンを、二つのスクリーン印刷電極が内蔵された電気化学反応器に通します。これら電極により水からリチウムイオンを引き離し、回収し、リチウムを高純度で取り出します。
リチウムイオンバッテリーのリサイクルにおいて広く普及する湿式製錬方式は、化学薬品および熱を用います。しかしこの電気化学方式では、化学薬品が不要な上、エネルギー消費も少なく、処理効率が30〜40%ほど高いという利点があるということです。現在試験プラントで試行中ですが、将来的には電極を適性化することでリチウムのほか様々なレアメタルをリサイクルすることを目指します。
資源としての重要性が増すEスクラップや廃バッテリーを、英Alfred H. Knight社CircularEconomy, Commercial Managerのベルナドン(安齋)千尋さんは「都市鉱山」と表現します。
Alfred H. Knight社は世界50カ国に拠点を持つ英国企業。140年以上の歴史を持ち、鉱石や金属ほか様々な分野で分析サービスを提供しています。E-Waste-Expoでは、ブラックマスやEスクラップのサンプル分析サービスを紹介していました。
ちなみにブラックマスとは、バッテリー・リサイクルの過程で、分解・粉砕後に、銅やアルミニウムといった金属片やプラスチックを除去した後に残る粉末です。リチウムをはじめとするレアメタルが含まれる中間原料として売買が盛んになっています。
売り手も買い手も、値付けのためターゲットとなる金属の含有量を知る必要があり、その際第三者による現地での公正なサンプル分析が重要な役割を果たしています。
insystem.io(オランダ)は2017年に起業し、リサイクルのために廃棄物を分別するロボット・機械を開発・販売しています。
展示会では分別ロボット第三世代を紹介しました。このロボットは、カメラおよびセンサー、AIを使い、ベルトコンベア上を進む雑多な廃棄物から、分別すべきターゲットを識別し、バキューム・グリッパーで吸い上げ、コンベア脇に置かれたコンテナに投げ入れていきます。
例えばこれにより、全自動でボトルを色別に分別することができます。ターゲットとなる廃棄物はAIに学ばせ、ボトルほか、石や、鉄鉱石、厚紙や木の欠片などを、最速1秒で1ターゲット処理します。同社は第三世代の販売にあたり、価格を従来の約1/4の45000ユーロに下げました。リース契約すると、1ヶ月1750ユーロ。オランダで人を一人雇うよりも大幅に安く済むということです。

左:insystem.io社のリサイクリングロボット、上:WeSort社のX.SORT(カタログ) (c)著者撮影
ゴミの分別には、電池や電気タバコが紛れ込むことによる火災のリスクがつきものだそう。ドイツのどこかの分別施設でほぼ毎日火災が起きているそうです。
原因の一つとして、従来の光学機器を使った分別では、ベルトコンベア上で物が重なると下方の物を認識できない、またケーシングされていて中身を認識できないことにあるそうです。
ドイツ・スタートアップのWeSortは、X線スキャナーとKIを使い、紛れ込むとリサイクル作業を妨害するような物を識別して取り除く分別機、X.Sortを開発しました。このX線スキャナーは厚さ50cmまでの物を透視でき、例えばスマートフォン内のリチウムイオン電池や、スチールの塊や石のかけらなどを即時に識別し、回収します。これにより電池による火事のリスクを90%以上減らすことができるということです。

ドイツ営業担当Wolfgang SEIDLERさん。ガラス層除去前と後の状態と、パネルから回収したシリコンを示す。(c)著者撮影
Ecoprogetti(イタリア)は、1998年の創業のソーラーパネル生産設備のメーカーです。4年前からは、高まる需要を見込み、ソーラーパネルのリサイクル設備の製造も始めました。
ドイツでは太陽光による発電の割合が全体の18%を占め、現在もソラーパネルの設置数は増え続けています。今後、寿命を迎えるパネルが増えていくと同時に、ガラスやセルの破損、またはEVA樹脂の剥離などによる廃棄も増え、2050年までに世界で累計7500万トンの廃棄が見込まれます。
廃ソラーパネル(結晶系シリコン)をEcoprogettiのリサイクルラインに挿入すると、ガラス、プラスチック、アルミニウム、シリコン、銅、ジャンクションボックスにほぼ全自動で分離・回収されます。Ecoprogetti社のラインは競合他社と比較し、効率性が高く電力消費が約40%抑えられる利点があるということです。

大畑 嘉太 経営企画部部長 / Kashiro Ohata VP of Corporate Strategy(c)著者撮影
大畑商事は、非鉄金属(銅、アルミニウム、ステンレス、雑電線ほか多種)を中心に金属スクラップの買取・リサイクルを行なっています。従来、持ち込むまで価格がよく分からない金属スクラップでしたが、大畑商事はホームページで買取価格を公開し、透明性を高め、業界に新たなスタンダードを築きました。これにより、一般客にも利用しやすくし、取扱量を拡大してきました。
同社には、一般客をはじめ、電気工事業社、解体業者、リフォーム会社など幅広い客層が、家電コード、雑電線、アルミホイール、給湯器、バッテリー、真鍮、ステンレスなどを持ち込みます。ホームページやLINE、電話などで価格の目安をつけ、これらを持ち込むと、計量・検品後に買取価格が提示されます。金額に納得すればその代金をその場で受け取ることができます。遠方の方には郵送での買取対応もしています。買い取られた金属は選別・加工され、製錬・素材メーカーなどに供給され、資源として再利用されます。
大畑商事は国内では大阪、千葉、群馬に拠点を構え、近年は北米(米国・カナダ)での事業展開も進めています。また、将来的には、欧州を含むさらなる海外展開も視野に入れています。

村田製作所が提供する様々な小型RFIDタグ(c)著者撮影
2027年2月からEUでは、自動車・自転車用や産業用などの大型のバッテリーに対するバッテリーパスポートが義務付けられます。目的はバッテリーの全ライフサイクルについての透明性と追跡可能性を高めること。そのためにEUで流通する全バッテリーに定められたデータを記さなければならなくなります。
例えば各バッテリー製造時のCO2のフットプリントや、原料のリチウム、ニッケル、コバルトの原産国と採掘の社会・環境的条件、バッテリーの健康状態などです。このデータセットをバッテリーに記載する技術としてQRコードまたこれに類する技術が想定されています。
先進的RFID応用技術を数々開発してきた村田製作所は同展で、このバッテリーパスポートへのRFIDの活用を提案。タイヤ、医薬品、金属製品、電子機器向けに開発したミリ単位の極小のRFIDタグを展示していました。例えばタイヤ向けRFIDはタイヤに埋め込まれます。タイヤの安全や、物流、ライフサイクルの管理を目的とし、性能を維持しつつも小型化しています。2021年にタイヤ大手仏ミシェランと共同開発しました。タイヤ内という負荷の高い環境に対し、高い耐久性や通信可能性を実現しています。
取材・文・撮影:Keiko Yoshida
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